変化する戦略
消費財メーカーがネット通販に乗り出す一方、耐久消費財メーカーや一部の卸売業においては、販売店支援のダイレクトマーケティングに乗り出す企業が増加している。本特集では、エンドユーザーとの関係性を構築するとともに販売店をサポートする独自の取り組みを追った。販売店支援の最新情報や展開に当たっての留意点にフォーカスする。
協働体制を仕組み化し、サービスの連携・高度化を確立
市場の成熟や情報化の進展などにより、生活者のライフスタイルや購買行動は多様化してきた。メーカーによるリテールサポートにおいても、こうした動きに対応するべく、新たな取引のモデルを提示するなど、その支援体制を進化させている。
購買行動の変化により新たな方向を模索
市場の成熟、情報化の進展などにより、生活者の購買行動は大きく変わってきた。それに対応し、業界を問わず、販売チャネルにも変化が生じている。例えば、保険や自動車など、従来、営業担当者による訪問営業を主体としてきた業界には、その効率低下を受け、店舗をベースとする販売など、ほかの販売チャネルの確立が求められている。また、店舗小売業の中には、ただ単に座して待つだけでは集客がおぼつかない、あるいは、通信販売やeコマースとの競合を懸念しているところもあるだろう。
こうした中、メーカーから販売店に対するリテールサポートのあり方も変化を余儀なくされていると言える。
情報化の進展は、生活者の購買行動のみならず、企業のマーケティング活動にも大きなインパクトを与えた。今や情報のやり取りは、従来のメーカー→卸・小売り→エンドユーザーという取引の流れを超えて、自由に行うことが可能になったのである。
また、そもそも直接の顧客接点である小売店が対峙している顧客はマーケットの一部に過ぎず、かつ、個々の販売店は必ずしも充分な資源を持っているわけではない。一方で、川上のBであるメーカーは、個々の販売店を束ねてスケールメリットを演出することができる。
こうした背景から、各社のリテールサポート施策は、販売店満足の向上、ひいてはその先の顧客満足の向上に向けて、新たな方向を模索しつつある。
共存共栄を目指し、仕組みの提供に乗り出す
ここで、今回取材した企業を見てみよう。
アフラックでは、エンドユーザーの「気軽に立ち寄れ、相談できる場所がほしい」との要望を販売代理店経由で受け、同社商品を専門に扱う「アフラックサービスショップ」開設のバックアップを行っている。立地選定、開設資金の援助に加え、店頭の入り口の広さや使用ツールなどを統一し、キャラクターのアフラックダックを入り口に飾るなど、ブランド・イメージの統一化を図っている。さらに、Webサイトにサービスショップの案内を掲載するほか、コールセンターに問い合わせてきた顧客へ最寄りのサービスショップを案内して店頭への誘導を促進。複数企業の商品を揃えて店舗展開する他社との差別化を図っている。
コクヨでは、販売店が顧客企業へカタログやネットを介した通信販売を行う際に、システム面や物流面をサポートするオフィス用品購買システム「@office」を提供している。同システムでは、メーカー希望小売価格のみを表示することで、販売店側に価格決定権を持たせており、従来の取引の延長線上で販売店が営業活動に注力できるツールを提供していると言える。なお、@officeは提供開始以降、販売店の要望を取り入れて徐々に機能を追加し、エンドユーザーの利便性を向上、ひいては満足度を高め、販売店と顧客企業との関係をより強固なものにしている。
ダイムラー・クライスラー日本では、「オーナーロイヤリティプログラム」の展開に当たり、販売・アフターサービス拠点であるディーラーとの協働体制をとっている。車検が近づいたオーナーに対し、同社からDMを送付。その後、アウトバウンド・コールを行い、オーナーの要望や意見を吸い上げ、ディーラーへフィードバックしている。
日本オラクルの「OracleDirect」部門は、エンドユーザーからの技術的な問い合わせに応える部門として立ち上がった。この中で、エンドユーザーの関心が業務の効率化からビジネスの創造へと変化していることをいち早く察知。そこで、産業ごとにパートナーとエンドユーザーを同部門の同じ営業担当者がカバーすることで、同社とパートナーが協働してエンドユーザーへアプローチする仕組みを整えた。自前のデータベースや営業支援システムを駆使し、営業プロセスの効率化やコンサルティング営業の推進に挑戦している。
協働体制を構築し、情報の統合化が進む
本特集のインタビューにおいて、明治大学大学院グローバルビジネス研究科教授の上原征彦氏は、「流通戦略が集客型から接客型(消費者に接近していくビジネス)へと変化していく中で、エンドユーザーとの関係構築がますます重要視されている」と指摘する。
従来から、メーカーはリテールサポートとして、販売員などの人的フォローや、パンフレット、POP、店舗用什器などのツール、販売助成金の提供など、販売現場で必要なヒト、モノ、カネの支援を行ってきた。しかし、情報化が伸展し、エンドユーザーの購買行動が大きく変化している現状においては、顧客とダイレクトにつながり、情報を収集することで、顧客の視点に基づくソリューションの提供につなげることがより重要度を増している。そこで、B to B to Cのモデルにより各販売店を束ねつつ、情報を統合していくということが、メーカーの役割としてクローズアップされつつあるのだ。
上原氏は、顧客と関係を作って情報収集する「方法論は自由」としており、コールセンター、インターネット、ポイントカードなどから、最適な方法を採用して販売店との協働体制をつくり、双方からエンドユーザーとの関係強化を図ることが必要だと説く。
こうした情報の統合に向けての体制整備が、まさに今後の課題である。流通の川上に位置するメーカーが直接の顧客接点である販売店と協働し、そこで実際の販売行為のみならず、エンドユーザー情報の収集やブランド価値の向上にも取り組むことが、ますます重要視されるようになるだろう。
協働体制を構築することで、メーカーは、販売店が持つ情報を束ねてそこに意味を見出し、個々の販売店へフィードバックすることが可能になる。こうした協働体制は、ひいてはエンドユーザーにより良い商品・サービスを提供することにもつながっていくだろう。
メーカーの中には、特定商品における通販を展開している企業もある。一方で、前記のように顧客データベースに基づき次なるアプローチを展開するという意味でのダイレクトマーケティングの“概念”をB to B to C/Bのモデルに投影する道もある。いずれにせよ、流通戦略とマーケティングの関係を、商品に紐付けた情報だけでなく、顧客の視点から再考する必要があると言えるだろう。
──4月1日付の就任ですが、話を聞いてどう思いましたか。
びっくりしたというのが正直なところだ(笑)。ただ、前職の吾妻県民局長時代は草津や四万、万座といった有名温泉地を抱えている関係から、例えば四万温泉をどうアピールすべきかなど、地元と一緒になって取り組んだ経験がある。観光の何たるかは多少理解しているつもりだ。
──3月29日から、「全国都市緑化ぐんまフェア」(〜6月8日)が始まったが、観光客の入り込み状況はどうですか。
群馬の観光をアピールする絶好の機会であり、全県挙げて取り組んでいる。目標は100万人だが、開幕から3週間で40万人の来場者があった。これからゴールデンウイークに入り、来場者はさらに増えるだろう。目標達成は確実で、気が早いが成功と言っても過言ではない。
──宿泊客も増えている?
連休期間中の予約状況は好調であり、フェアの集客効果が出ているのではなか。旅行会社もツアーを組んでくれており、さらに期待したい。特に今回ははとバスとクラブツーリズム、JTBの3社に絞り込み、ツアー造成を働きかけた。もっと多くの旅行会社にアピールしたいところだが、予算にも制限があり、的を絞らせていただいた。また、JR東日本は自社で中吊り広告を作り宣伝してくれるほど力を入れてくれている。
──緑化フェアの後、7月からの取り組みが大事ですね。
6月末には東京・銀座に新しい拠点、ぐんま総合情報センターがオープンする。ここと力を合わせ、絶え間なく、観光情報を発信していく。例えば六合村の野反といったこれまであまり知られていなかった新しい観光素材の提供やファンクラブづくりなど、視点を変えた取り組みの必要性を感じている。
──ファンクラブ?
情報センターでは『群馬講座』を新たに開設し、センターを訪れる人に群馬の魅力を知っていただき、ファンになってもらう仕掛けを用意している。県立女子大が講師を派遣してくれるようだ。また、県内の大学生は県外の人が多く、入学式や卒業式には県外から多くの親も出席する。そうした人たちに対し、県観光をPRするのも手だ。ネットワークを広げ、1人でも多くの群馬ファンを増やしたい。
──局長として、まずやるべきことは何だとお考えですか。
先ごろ、08年度を初年度とする観光振興計画(〜12年度)を策定した。『群馬へいざなう』『群馬でもてなす』『群馬をみがく』の方針のもと、06年度実績を4年間で10%アップさせるのが目標だ。実現に向けどう効果的な施策を打ち出すのかが、当面の仕事だと理解している。具体的には、観光客数は6800万人(06年度6215万人)、宿泊客数が885万人(同805万人)、外国人旅行者数が10万人(同7万3千人)、観光消費額1630億円(同1482億円)に持っていきたい。
──インバウンドのターゲットはどこですか。
東アジアだ。最近は台湾からの訪問が増えており、ここにもっとアピールする。群馬の持つ豊かな自然、雪や温泉などの素晴らしさが浸透しつつあるようだ。中国については、昨年度知事自らが現地に出向きセールスをした。教育旅行で県を訪問先に選ぶ動きも出てきており、PR次第で取り込めると思う。受け入れ面では多言語表記の案内板など体制も徐々に整備されつつある。
組織のあり方も検討課題の1つ。現在、イン関係は観光物産課で行っているが、定期異動があり、長く携わることができない。県観光国際協会とも連携し、中長期的に取り組む体制づくりも必要かなと考えている。
──東京からの観光客が多い?
一番多いのは埼玉県だが、日帰りがほとんどだ。滞在型観光の提案をし、どう宿泊増に結びつけていくかが求められている。併せて近隣県との競争に負けない、群馬県ならではの特色をどう打ち出すか、今後の大きな課題だ。就任したばかりでこれといった妙案がないが、もう少し時間をいただきたい。
これまで『ほのぼの群馬』というキャッチフレーズで全国にアピールしてきたが、観光振興計画のスタートを機に見直す方針だ。今年中に新しいキャッチフレーズを公募する。